カッティング・エッジ/ホロウ・シカエルボク
 
になっていて…大変なことだと思ったけれどわたしはやはり急いでいたから、誰かが(たとえばあの優秀な管理人の女性が)対応するだろうと思ってそのままエレベーターに乗り込んだ、ドアが閉まる瞬間、管理人の女性が正面玄関へ走っていくのが見えた、そして彼女は一瞬こっちを見た、その顔は青ざめていてさすがにうろたえているみたいだった、彼女はわたしと目が合うと自分の目を大きく見開いた、その時の顔がわたしは忘れられない…彼女はきっと、なにを差し置いても決まった量の野菜を切り続けなければならないような人生に放り込まれたことが無いのだ、わたしだってそんな人生を背負う羽目になるなんて思ったことも無かった、小さな荷物を抱えてわ
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