カッティング・エッジ/ホロウ・シカエルボク
 
をするけれど、それが出来るせいで周辺の世界のすべてを憎んでいるみたいに見える、すぐに行きますと告げて受話器を戻し、思わず舌打ちをする、そしてしまったと思う、舌打ちなんて下品なことはするべきではない、それぐらいのことはきちんと教えてくれる家庭で育ったからだ―他人の悪口を言わないとか、陰口を叩かないとかそういう(まあ似たようなことだけれど)―ひとつだけ凄く印象深い教えがあった、あれは確か社会人になる前に父に教えてもらったことだ、「他人を利用しなければならないようなプライドなんて持つな」それだけはどんなにひどい空間の中に居ても守り続けている…管理人の女性は、わたしがずっと包丁を持ったまま電話を受けている
[次のページ]
戻る   Point(2)