不眠の内訳/ホロウ・シカエルボク
 
台のなかで隣り合わせたおれとその誰かは
果たして挨拶ぐらいは交わすだろうか
あるいは
どちらかが喋り始めるのを
待って
結局すべてのタイミングを逃してしまったりするのだろうか
細切れ死体になったってたぶん変わりゃしないだろう
コミュニケートすることに積極性を持ち始めると
後々集団性の盲目になること受けあいだ


そうしてそのまま
処理場のコンベアに乗せられ
赤々と燃える火のなかへ落とされるだろう
焼失の予感に取り巻かれながら
部品となったおれはなにを思うのだろう
これまでの人生を思い返したりなんてことは
もう、とっくに、済んでるだろうし
ただただ当てもない旅を続
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