親指姫とベンジャミン/ベンジャミン
配慮が足りなかったと思って、年甲斐もなく袖に手を入れて手袋を選んだ。姫なんだから、やっぱりラメとか入ってた方がいいよね、なんて勝手にうなずきながらピンクのラメ入り指ぬき手袋を買った。それから僕は、片手だけピンクのラメ入り指ぬき手袋をはめて街を歩いた。いつもと違う視線を感じたけれど仕方ない、親指姫のためだ。家に帰ると、急にお風呂に入りたくなったので、風呂場で服を脱ぎ始めた。すると親指姫はきゃっと言って必至に手のひらの中に隠れようとしている。あぁ そうかと思って、僕は親指姫を手のひらでくるむと、ぎこちなく片手で服を脱いだ。初めて見るものばかりですと親指姫が言うので、僕はすっかりおかしくなってしまった。
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