Miz 14/深水遊脚
 
救いきれない命はある。そこに一抹の虚しさはあった。今回倒した特殊能力者を殺し屋として操ったのもまた人間で、その人間に愚かにも自身の能力を提供した特殊能力者も、肉体は人間だった。救いを必要とするのも人間、殺しあうのも人間、そして自然には絶対にかなわないのも人間だった。

 時刻は8時を少し過ぎたくらいだった。消防や警察が待機している詰所と連絡をとりあい、救出した4人と、残念ながら救えなかった2人のご遺体を、別々に詰所に移動することになった。新たな遭難者がでてはかなわない。我々の方から動くことを申し出た。それぞれの発見場所の経度と緯度を正確に伝えた。我々はいないことになっているので、ご家族への説明
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