鋳掛屋/あおば
けてくれるのかなと思いながら、冷蔵ケースの中をこっそり観察しながら何度通り過ぎたことか、昔、道ばたで、バカ貝をその場でむき身にアオヤギにして売っていた行商の貝屋さんを、生きているのに残酷だとか言って、おちょくった罰なのかもしれない。
それが鋳掛屋さんだったら、付き着っきりで黙って詳細に観察して、いろいろ五月蠅く質問を投げかけただろうことは間違いない。鋳鉄を溶かして割れた部分に流し込み溶接するなんて、なんて面白そう、私も真似して火傷したりしたことも間違いない。鞴の風で炭火を起こし銑鉄を白く感じるほど明るいオレンジ色になるまで熱して溶かす、なんと魅力的なことか。
今でも、お寺の鐘や古い半鐘の修理
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