鋳掛屋/あおば
 
た雪の道を、竿竹屋の軽トラックは2本で1000円、15年前の価格ですと、おなじみの台詞をラウドスピーカーで流しながら走っていたのを耳にしたくらいだ。
それ以外の行商人は、焼き芋屋、産地直送と名乗る八百屋、そういえば、魚屋が絶滅した我が町では、お金持ちの年配者目当ての冷蔵ケース付きの魚屋の軽四輪が、決まった場所で客を待っている。スーパーの魚は美味しくないから、魚臭い匂いがしないから、普通の魚屋さんの魚が食いたいといつも思っているので、その軽四輪を見るたびに試しに魚を購入してみたいものと思っているが、その行商のおやじ、私が買う気があるとは思わないのか、決して目を合わそうとしない、女性ならば声を掛けて
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