鎖/あおい満月
んあなたから離れていった。
***
あなたがあの老女に逃げた理由も、
解らないわけではなかった。
いつも、
私の母方の家系からは、
「Hさんはどこの馬の骨だか、
わからないやっかいもの」呼ばわりされ、
私の母親の母親からは、
「バカ野郎!」と怒鳴られ、
あなたは心の拠り所をなくしていた。
だからあなたは、
あなたを労り、享受してくれる人を探していた。
私の母親との離婚が成立した、
私がもうすぐ高2になろうとしていた、
ある休日の車のなかで、
あなたは私に、
(いいか、ふうちゃん、これからはセックスは良いが子どもは作るな)
だった。
私は浅はかな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)