鎖/あおい満月
 
かなあなたに愕然とした。
小学校の頃、
あれだけ再三勉強勉強と言い続け、
私はあなたに従い、
高校からは実力次第で難関大学へ行けるという進学校に推薦で入ったのに、
最後の最後が、
何がセックスだ、
もっと他の言葉があるだろう、
私は白い壁に何度も何度も、
赤い血をぶつけた。

****

あれから20年。
私は未だ、
セックスが怖い。
あなたのせいだ。
あなたが、
ねじ曲がった愛を私に教え込んだから。
私は齢、今年で36。
あなたが私をもっとも支配した年齢に差し掛かる。

お父さん、
私はあなたを赦していません。
私は未だ、
朝陽か昇っても、
細い瞳を開けられません。
この見えない鎖を、
どうほどいてくれますか。
私の胴体にぐるぐるに巻き付いた、
重く見えない鎖を。
戻る   Point(1)