田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)/岡部淳太郎
引用=はげしく回転する車輪の軸
その熱性の中心
おお その性的遠心力によって
ふるえるものはすべては秋のなかに
秋の光りのなかに
魂の色のなかに
われら盲いたるものすべては
落下する
(「腐敗性物質」終連)}
一読しただけで、解釈や意味など虚しく思えるようなかっこよさである。もちろんこれは良い意味で言ってるのだが、詩人は次第にこうした有無を言わせぬかっこよさから離れてゆく。
{引用=どんな死も中断にすぎない
詩は「完成」の放棄だ
神奈川県大山(おおやま)のふもとで
水を飲んだら
匂いがあって味があって
音まできこえる
詩は本質的に
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