田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)/岡部淳太郎
 
も、どうでもいいという感じがする。すべての意味を軽く飛び越えて、ただただこの詩はかっこいいのだ。
 それにしても、詩集のタイトルが「四千の日と夜」である。何度でも言うが、この上なくかっこいい。「四千の日と夜」というからには「四千日」ということだろうし、この日数(計算してみると約十一年間)が日本が戦争をしていた期間と緩やかに符合するということも何となくわかるのだが、そんなことはどうでもよくなってしまうぐらいにこのタイトルはかっこいいのだ(いいかげんしつこいな、俺も)。この後に出された田村隆一の詩集も、タイトルを見ただけで読みたくなるようなかっこいいものが目白押しである。「言葉のない世界」「緑の思想
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