田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)/岡部淳太郎
付を見ると「一九七六年八月一〇日初版 一九九〇年三月三〇日9版」と書いてある。僕はそれ以前にも詩を書いてはいたのだが、この時点になってようやく現代の詩に親しむようになったということだろう。
この詩を一読して、僕はそのかっこよさにしびれた。中公文庫のこのアンソロジーにはつづけて田村隆一の「皇帝」「四千の日と夜」「天使」「雨の日の外科医のブルース」が収録されていて、どの詩も僕をうならせた。後になって当時の詩壇の状況やこれらの詩が戦後の社会との関わりの中でどう受け止められていったか、また田村隆一が所属していた詩誌「荒地」全体の受け止められ方などを知ったのだが、当時の僕にはそんなことは知るよしもなく、
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