田村隆一(その詩行のかっこよさから語る)/岡部淳太郎
 
すると、この詩人はダンディズムのかたまりだったのではないかと思われる。そのダンディズムが、あの「四千の日と夜」の数々のかっこいい詩を生み出したのではないだろうか。
 詩をただ単にかっこよさだけで語ることは良くないことだろうか。だが、現代詩をまったく知らない人に対して、それぞれの詩人や詩の背景や歴史的意味などを説明したところで、ただ虚しいだけだろう。誰でも最初はかっこよさやかわいさ(あるいは美しさ)といった表面的な部分から入ってゆく。現代詩って、実はこんなにかっこよくて面白いものなんだということを知れば、自然と読書量も増え、知識も増えるだろう。田村隆一が残した数々の詩には、発表当時には確たる時代的
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