花びらなら土に帰す/アラガイs
 
しない。このオヤジと子供が夏場になるとパンツ姿で自転車置き場をうろつくのは、一体この親子連れはいつ身体を洗っているのだろうかと疑いたくなるくらいだ。
外気も暖かくなればテレビとともに薄壁を反響してこの親子連れの耳障りな馬鹿笑いが聞こえてくるのには、またアパート住民の憂鬱を誘うことだろう。他人の目線が気にならないぶんだけ彼らにはそれで幸せなのだ。
それにしてもこの枕のような女はめったに声を出さない。
真夜中から朝方にかけて虫の絶命に発せられる妙な奇声があがるとき、このバッタの一物が白いぶよぶよとした肉の襞を押し拡げるからだろうか?
同じ一階で向かい合う年寄りの母と息子連れの部屋からは、その
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