まともな話をするやつは正面からやってくる/ホロウ・シカエルボク
 
能はない…判で押したみたいに同じ言葉をずっと繰り返すだけさ…休日だった、休日のひとりきりの朝だった、窓から外を窺うと、控えめな女が喋り出すときのようにおずおずと晴れていた、インスタントのコーヒーをもう一杯飲んで、昨日の昼からの摂取のカスを便所に放り出した、うしろに居るやつは今度は国語辞典の歴史についてずっと語り続けていた、あいつのモチーフにはまるで、節操というものがない…まるで興味のない出来事なら聞き流すのになんの苦労もない―寝巻きを脱ぎ捨ててシャワーを浴びた、頭が冴えてくるに従って声は聞こえなくなった―そんなもんの相手をする理由なんてこちらにはないのだ、意識を半分飛ばして繁華街を歩く、こんなとこ
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