まともな話をするやつは正面からやってくる/ホロウ・シカエルボク
 
なんと言ったか…おれは拒絶を諦め、無視を決め込んでなんでもないような顔をして朝食のトーストを片付けた、ピーナッツバターで良かった、それがストロベリージャムだったりしたらおよそ食う気になんてなれなかっただろう、そいつが囁いた地名にも、二人の子供の名前にも覚えがあった、だけど、それがその事故とは結びつかなかった、やつは、おれの記憶を利用しているのだ、おれの頭の中にある、おれがもう使うこともないような記憶の中から二人分の名を引きずり出して、本当にあったことのように信じ込ませようとしているのだ、だけどおれは反駁することはしない、そんなことにはなんの意味もない、囁き続けるこいつらには、対話をするような知能は
[次のページ]
戻る   Point(1)