ブロイラー/ただのみきや
 
進み出ると
毎年恒例の祝詞が唱えらえる


  
その昔人間は毎日肉を好きなだけ貪った
やがて大きな戦が起こり
世界中の土が水が空が汚れ切った
肉ある生き物はすべて滅び去った
深い穴に隠れ生き残った人間は
肉の味が恋しくてたまらず
互いを捕らえては共食いを始めた

この惨状を見かねた神は
天から一羽の大きな鶏を地上へ贈られた
神は言われた
「この聖なる白い鶏を
年に一度の祭りの日に 
みなで屠って食べなさい
地上の人間が最後の一人になるまで
この祭りを続けるなら
聖なる鶏は尽きることがないだろう」



「選ばれし鶏の御子」が声を張り上げる

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