証拠なんかなくてごちそうさま/ホロウ・シカエルボク
大騒ぎなのにひとばらいでも行われているかのように誰も寄り付かずもしかしたらもともとそういう通りなのかもしれないけれど真昼間だというのになんという静けさだろうかとおかげで影が娘の内臓を屠る音まではっきりと聞こえてきて娘はまだ口の中でぐじゃぐじゃ言っていたがじきになにも言えなくなって涙に濡れた目を見開いたままにしてああここは助けてあげてもよかったなんてその時初めて思ったが助けてあげられる気もしなかったがさすがに可哀想だなと思っていると娘を屠るうちに次第に影は実体を持ち始めそれは案の定さっき道で倒れて糞を漏らしていたあの老人で嬉々として食い続けあー大食漢だなーと思っているうちあっという間に食い尽くしてし
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