ミサ/ホロウ・シカエルボク
ない―もしかしたらそれは今夜かもしれない、今夜眠るつもりで目を閉じれば、そのままこの不自由な肉体を離れることが出来るかもしれない―自分の身体の中にもう生命を燃やす燃料が無いことも判っていた、もうすぐ―彼女は生まれて初めて安らいでいるみたいに思えた、不確かなものに囲まれて生きていた自分にとって、それだけが確かなものだった、みんなはわたしが狂ったのだと思うだろうな、とミサは考えた、でも違う、わたしは、こんな時間が欲しかっただけなのよ―そうして、その時は訪れた、彼女の頭の中であらゆるこわばりが瞬時に消え去り、眩しい光が広がった、ああ、やっと来た―彼女はすべての終わりを感じた、そして、静に目を閉じた―
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