ミサ/ホロウ・シカエルボク
 
い季節ではなかった、女がそこにもぐりこんだのは三つか四つ前の夜のことであっただろう、もっとも、そこにもぐりこんだときにどういう状態だったのかまでは知る由も無いけれども―女の脳味噌はだけれど、まだやはりかろうじて生きていて、様々な考えが明方の夢のように繰り返されていた、わたしはどうしてこんなところに居るのだろう、とりとめもない思いの中で何度も繰り返されるのはそんな問いだった、女にはそのことがどうしても思い出せなく、また、そこに至るまでの数時間、あるいは数日のことも、まったく思い出すことが出来なかった、自分が何事かを目論んでここへ来たのか、あるいは誰かに連れてこられたのか―まったくなにも思い出すことは
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