ミサ/ホロウ・シカエルボク
重にも守られていた胴体はまだ生き残っていた、と言っても、必要最小限の生命を維持するくらいの力しか残ってはいなかったが―そこにはまだ呼吸が行われていることを示す胸部の上下運動があり、その運動はまだ確かな生命を語るには充分なレベルだった、顔は―痩せ衰えていておまけに表面が死にかけており、片目は開くことが出来なくなっていた、右目だけが大きく開かれていて、そこに見える光は大分心許ないものではあったがまだなにかを語ろうとしていた、誰かが自分を見つけてくれないかと願っているのだろうか、絶えずぎょろぎょろと皮膚の渕を撫ぜていた―すべてが凍てつくほど寒い地域ではなかったが、そんなところで幾晩もを凌げるほど優しい季
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)