いのり/あおい満月
 
アンタガワルイノヨ、
ゼンブアンタガワルイノヨ、
アンタガ、
アンタガ、

三半規管を往来する
嗄れたあなたの声が、
私の耳から喉に谺する。
私は何故か言い返せない。
なぜなら私はあなたの娘だから。
私とあなたの間には、
内側にも外側にも、
越えてはいけない境界線があって、
飛び越えられる筈の踏切の線路でさえも
足首は震えたままこの髪を離さない。

*

ナンデアタシニ、
ナニモイワナカッタノヨ、
アンタハウソツキダ、
ホントウニワルイコダ、

私が幼い頃のあなたは、
よく私の頭を人前で叩いた。
今ではあなたはすっかり
忘れているけれど。
自分
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