それは抽象性以上の具体性を持たない(そしてしばらくの間循環をやめない/ホロウ・シカエルボク
 
のない本にはなにもかもが書かれている
それが記憶とは無縁の場所に刻まれているから
俺みたいな連中がそれらを追いかけている―夢中になって


意味を追うよりもただただ喰らっていくことだ
知ることになんてたいした意味はない
本当は誰もが気付いていなければならないことさ
ひとたび喰らいついて噛み千切って飲み込めば腸内から肉体に吸収される
顎が疲れるほど噛み砕いた瞬間に血液の温度は変わっているのさ
あとはそれが循環するのを待っていればいいだけだ


なあ、俺はときどきこんなふうに考えるんだ
ある種の詩は血小板のいくつかが話したことなんじゃないかって
白血球とか赤血球でも構わな
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