ガ/ホロウ・シカエルボク
 
と熱を放つものがしきりに飛び交った
かれはそれらを避けながら物陰に止まって
これまでとはまるで違う景色を見ながらこれまでとおなじことを考えた
見ている景色そのものはやはりあまり問題ではなかったのだ
そこには乱雑な死があった
それが死であることはよく判った
唐突で絶対的で
あまりにも数が多かった
あたりが静かになると
かれは物陰から抜け出し
そこにある無数の死と生を見つめた
それはとても圧倒的な光景だったけれど
そこにどんな意味があるのかはまるで理解出来なかった
でもそれはかれにとって
決して無視出来ないなにかを含んでいた
かれはしばらくの間留まることに決めた


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