ガ/ホロウ・シカエルボク
きている)
かれは懸命に羽を動かしながら
おれはずっとこんなことばかりして生きているな、と思った
そのとき強い風が吹いて
かれは大きく流された
羽ばたくことも出来ない強い風の中で
かれは生まれて初めて死を覚悟した
死にたくない、とかれは思った
もう少しこの世界を見たい、考えられることはすべて、納得がいくまで考えてみたい、そう思った
そのとき風が方向を変え
かれはどこか見知らぬ場所へと吹き降ろされた
そこにはこれまで見たものとよく似ているけれど
どこかがまったく違うものたちが生きていた
かれらはしょっちゅういがみあって
ときには血すら流れることがあった
なにか強い光と熱
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