ガ/ホロウ・シカエルボク
 
した
「生まれてきたのに生まれてきた意味はなかった」
そんな現象が含むものはただただ怖ろしかった
ある日かれはその天井を離れた
もうそれ以上見つめる意味はないように思えた
おなじころ生まれた仲間たちが次々と息絶えていく中で
自分だけがそこで生き続けていることが不思議だった
行くあてがないので上がれるだけ高く空に昇ってみた
そこからの眺めは
天井からの眺めよりもずっと美しかった
そしてその美しさは
かれにとってのかれの運命をさらに判らないものにさせた
(ここにある出来事はひとつではない、おなじかたちのいきものもそれぞれがまるで違う意味をもっていて、まるでちがうことをして生きて
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