(3/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
アーヤ」とアーヤの名を呼んだ。
「アーヤのお星様は、どれかなあ、あれかなあ、どっちかなあ」
ベビーカーを押しながら、声に出してそう問いかけた。
アーヤのお星様は、今、あたしだと思った。でもそれは一瞬のうちに反転した。今、アーヤがあたしのお星様なんだ。
この発見をずっとずっとかたときも忘れないでいよう。あたしは息をしずかにゆっくり吐いた。そしてスッと吸い込んでまた息を吐きながらこれまでのことを思った。あの人のことを思った。アーヤは3ヶ月間NICUから出てこれなかった。あたしたちは孤独だった。そのまま息を吐き続けながらこれからのことを思った。
前方から車が来て、
「アーヤ」
と
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