(3/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
していた。きっとここは天体観測にはもってこいの土地だ。天体の住む町だ。
真っ黒な空を見上げる。なんだか感慨深い。アーヤとふたりで来れたことを見つめているような気がした。アーヤが生まれた三日目の朝、看護婦さんに起こされたことを思い出した。
アーヤは硬膜下出血をおこして意識不明になっていた。原因はいまも分からない。アーヤは救急車で大きな病院に搬送された。あたしは帝王切開のあとだったので激痛で付き添えなかった。あの人が搬送先の病院に行き、それからあたしの病室に戻ってきた。
「アーヤはどうなの」
あの人はしばらく無言のあと、
「目と耳は覚悟してくださいって言われたよ」
と言ってから、
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