(3/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
人駅だったが、あたしたちが電車を降りると車掌さんも降りてきてベビーカーを手伝ってくれて切符も回収してくれた。
道中アーヤをのせたベビーカーはずっとぎしぎしいっていた。もう乳幼児ではないアーヤ。来年のことを思った。未来のことを思った。夜中に目が覚めてなかなか寝付けないときのような不安な気持ちにとらわれた。コンビニにお酒でも買いに行くか。
真っ黒な外に出た。あたしたちは普段夜散歩するようなことはなかった。ベビーカーのアーヤを押しながら、ここは宇宙の片隅のようだと思った。
ホテルのひとからコンビニまでの道を聞いていたけれど不安だった。外灯も車の明かりもなかった。星だけがちいさくくっきりとして
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