(1/3)伊勢うどんをマフラーに/吉岡ペペロ
 
から……を教えて」
 教えて欲しいことが方法なのか理由なのか、わからない。
 アーヤは目が見えない。耳も聞こえない。
 バスにはぱらぱらと客が乗っていた。観光客ばかりだ。同じホテルの宿泊客だった。
 乗車したときまだ体臭におかされていなかった車内に、もう老人たちの匂いが漂っている。「アーヤも老人になれるだろうか」
 あたしたちにとって初めての旅だった。
 アーヤのハンディキャップのことなんて結局言い訳だった。こうやってふたりで旅行が出来ている。旅を楽しむかのようにいい子にしている。アーヤにしたら毎日が旅のようなものなのかも知れない。
 目と耳に障害をもつアーヤの世界は、彼女が触れるも
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