光線の名残/ホロウ・シカエルボク
なるような夢をなにか見ただろうか?
目覚めは眠りを失わせる
眠りの影だけが目の淵に刻まれている
寒い朝に冷たい水で顔を洗う
これ以上忘れたものに気を取られないために
冷たく、高く、高周波数を思わせる空の下を、仕事場を目指して歩く、陽気で無軌道な学生たち、すれ違う連中を値踏みする自分のことは見えない女たち、咥え煙草の年寄、モラルの軌跡が見えない、薄暗い残像が目の前に残るばかりで…なるべく関心を寄せずにその通りをやり過ごし、温かい缶コーヒーを買って一息で飲み干す、それがその日最初に口にするもの、不自然に甘く、不自然に苦い味わいが泥水のように喉を這っていく、そして少しの間胃袋で、穏やか
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