80年代中学生日記 斉藤アキラ君/瓜田タカヤ
 
き作り出さなければならなかったのではないかと勘ぐるからだ。

彼の親は彼に無限大の愛情を注いでいたのだろうし、
オレも普通の友人のように彼と遊び、思い出を作っていったはずだ。
その事は間違ってない。

ただ彼にとっては”相手に対する優しさ”が
半ば強制的な行為になってしまっていたのかも知れないと考えると
彼の前転は悲しい思い出としてオレの身体に皮膜を作ってしまうのだ。

彼は大人として、自分以外の人間に優しさをあたえるように
努力しなければならなかったのだろうか。
彼は僕の知らない精神の暗部で
「命」と「自由」を天秤にかけていたのかも知れないのだ。

オレは外に出て雪
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