80年代中学生日記 斉藤アキラ君/瓜田タカヤ
が笑っているか表情を確かめると、
彼はニヤリとしながらオレと小学生の中に、極度の早歩きで近づいてきた。
そして突然斉藤君は「フイーーー!!」と裏声で叫び、オレと同じように前転したのだ!
斉藤君の後頭部がゆっくりと雪に消え、
その後逆向きのスクールザックとヒョロリとした脚が雪埃と
雪面に素早く消えていったのだ。
オレは心臓病で体育の授業を受けられない人間が
そんな事をしたら、面白いに決まっているじゃないかと思い、悔しかった。
斉藤君とは中学2年にクラス替えで別々になり、いつの間にか
美術部も辞めてしまったオレは彼と遊ばなくなっていった。
そして卒業し、テキトウに時間が
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