最初で最後の、樹氷が見る夢/ホロウ・シカエルボク
 
になるときのような音、細い針のダメージを置き換えたような―次第に肉体が軋み始める、軋み始め、もはや自由は利かず、でもとてもゆっくりとした速度で、肉体を蝕んでいく、ラジオの音はもう止まってしまった、きっともう電気が凍り付いてしまったのだ、死ぬための準備は整っている、窓の外には朝日が見える、こんな日なのに、こんな日なのに鮮やかに朝日が差している、なんという美しい景色だろう、そこにはもうなにも無いというのに、ソプラノのように輝いている、ソプラノのように光が奏でられている…血液が心臓に向かって次第に凍り付いているのが判る、どこかで考えていた、樹氷のように自分の心だけを抱いて生きていくことが出来たら、そんな
[次のページ]
戻る   Point(0)