最初で最後の、樹氷が見る夢/ホロウ・シカエルボク
 
どこにもなくて、不自然に歪なブロックがそこにはあるだけだった、もう眠ることは出来ない、夢は失われた、朝食はだんだんと色をなくしていく、凍てついて死んだ人間はいつかそれが溶けるときにどんな死を晒すのだろう?きっとそれはもう濡れた紙のようにだらしないに違いない、欠片というよりは切れ端のようになって、蘇った水分と共にかすかな窪みを目指して流れていく、もう血すら感じられない、もしか生き残った誰かがそれを目撃したとして、そんなものを人の死だと感じることが出来るだろうか?きっとそんなことは出来ないに違いない、かろうじて、かつて人であったことぐらいは感じられるかもしれない、でもそれはもう哀れみや悲しみで語れるよ
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