「われわれは、愛と平等を否定」しうるか?−「障害」と「言葉」の関係を繋ぎなおすための考察/石川和広
 
を捉えようとして、どんどん、くねっていく文体の長さは、とても疲労感を感じてしまう。
 もちろん、彼だけのせいとは、いえないし、彼の論文が、複雑な、かつ従来の哲学研究の文体から、介護、くらしの「現場」の感触を取り戻そうと懸命になっていることも、理解できる。
 しかし、彼の著書を紐解くとき、何か、ぼくら介護労働者が、感じてきたことが、これだけ、引き伸ばされたら、なにか、逆説的に、ぼくらの感じてきたことと、かけはなれていくし、そもそも、多くの障害者が、これを読むのは、かなりしんどいのではないかと思うのだ。僕は、障害者が、難しい本を読めないといっているのではない。
 要は、語り口の問題である。文学と
[次のページ]
戻る   Point(8)