秋、帰る/もっぷ
であった。
それでも秋は帰らなくてはならないし、とても帰りたかった。天のお国が里である。
いよいよ催促の雨が降りしきり始め、時が待ってはくれないことを秋はひしひしと感じとっていた。
いつもの荒川の土手で、秋は悩んだ挙句に結論に至った。つまらない自分がいっそ身投げしてしまおうと、そう決めてみたのである。次に生きる望みはもういいだろう、懐かなくてもかまわない、と。
――少女が、久しぶりの明るさを浮かべて部屋で電話の受話器を抱えていた。
「お父さんが…それ、本当ですか」
「本当にそんなことが…」
それだけ確かめてのち、秋は姿を消した。移ろい、終わったのである。生ま
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