秋、帰る/
もっぷ
生まれたばかりの季節の訪れのころに、海は秋をのみこんだ。
秋は、海へ帰っていった。天のお国ではなかった。その秋は二度と再生することなく、新しく廻ってきた冬、は天が再びおなかを痛めた子どもである。
帰った季節は甘いミルクティーの夢を見ながら、自分の、時間としての終わりと引き換えに再びの庶民としての安らぎを得ることのできた少女に、最後の恋をしていたのだった。
「… … …」
秋は真実、帰っていった。
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