秋、帰る/もっぷ
 
のめないのかしら…。
 つかみどころのない、
「くすくすくす…」
 傍からすれば、少女は気が違っていてひとりごとをいうような何かの病なのではないのか、そんな連想につながる様子が頻繁に見られた。

 そう、その秋は男性であった。少女にいつ求婚をしてもおかしくはない、それほどに明けても暮れても少女、少女なのであった。
 いっそこのまま自分の故郷まで少女を連れて駆け落ちをしたい、秋の本心はそうであった。

 彼は自分の領分といえる短い時間をわきまえて、ひっそりと涙ぐんだ。彼もまた切なかったのである。

 銀杏が、ほぼ黄唯色に移ろい終わりそろそろ衣を電飾と取り替えたそうにもじもじしてい
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