看取り(3/3)/吉岡ペペロ
た。埃が舞う。アスファルトに付着した埃たち。
花粉症の同僚の女の子が花粉症はアスファルトのせいだと言っていた。
「きれいな道になったお陰で、花粉がどこにも行けずに舞っているの」
「どういうことですか」
「杉の山の麓でも道が土のあたりでは花粉症にはならないらしいわ」マスクをでこぼこさせながらそう教えてくれた。
「お、とととと」息子が強風に身を任せてふざけていた。
「よし、パパが鳥をやってあげよう」
「え、なになに、やってやって」
幼いころよく両親や親戚のおじさんに鳥をやってもらった。ぼくは息子のうしろにまわった。そして彼の両手首を持ってそれを広げた。
「わ、鳥だ、鳥だ」正面から強い
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