看取り(1/3)/吉岡ペペロ
笑み保育所を出た。
ぼくは笑顔をよくほめられる。あるとき日本人に黒人であることの利点を指摘された。黒い大きな眼と肌と白い歯のコントラストには華があるのだそうだ。
息子のやわらかい手を包んでふたりで家路をたどる。
ぼくは仕事終えてからのふたりの家路が大好きだった。それが週三回看取りをするようになって保育所からの家路がおなじ数だけ減ってしまった。
看取りをするようになってから変わったことがもうひとつあった。考えごとをすることが増えたような気がする。
自分を動かしているのはなんなのだろう。
ぼくは自分を動かしているのはなにかと考えた。息子?使えないやつと思われたくないというプライド?祖国のこ
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