看取り(1/3)/吉岡ペペロ
るようにしてからめている。そうやってぼくたちは家に帰るのだ。
ぼくは老人ホームで便利屋のような職を得た。介護福祉士たちの補助を行うのにぼくの体力は申し分なかった。日本人の妻と四、五年暮らしたおかげで日本語もじゅうぶん使えた。
家に戻るとふたりぶんの夕食をつくった。タイマーで炊いておいたご飯をボウルに入れてそこに卵をふたつ割った。それをかき混ぜ油を敷いたフライパンで押し付けるようにして炒めた。裏返して炒めているあいだに大皿をだし皿にシナモンを振った。皿のうえに茶色いまばらな模様ができる。そこに炒めたものを載せた。
息子とふたりでテレビを見ながらそれを食べた。シナモンの味の濃淡が相変わらず美味し
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