無に芽吹く意・伸縮/ホロウ・シカエルボク
 
上手く流れについて語れるだろうさ…語る、そう、語るということを勘違いしてはならない、無数の人生、無数の感情、無数の感触…だが、一人の人間がそのすべてを語ることは出来はしない、「他人の真実は真実じゃない」それを理解している人間が本当に利巧というものさ―雨が多い、ほんの少しのインターバルを除いて、絶えず雨が降り続いている、この時期の雨は降るごとに冷えてくる…窮屈な真実の狂犬が繁華街で闇雲に噛みついているってさ…なんともみっともない話だね、でも、こんな陰気な雨の夜にはそんなエピソードがよく似合うよ、苦笑するぐらいに


世間はいつだって嘘みたいなものを信仰するものだし、その原因はいつだって同調を重
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