遠い日の物語/薫子
 
てしまっている。
その後、悲しい別れがあったのかもしれないが、何故か覚えてはいない‥


そして、彼は私の記憶から消えていった‥

いや、消えてしまったかのように見えた


次に彼の名を見たのは、それから10年以上も経た電車の広告。
シンフォニーホールでの年末公演の広告に第一バイオリンと書いてある横に彼の名が書かれていた。

ああ、頑張っているんだ。

私はとても感慨深く彼の名前を何度も見ながら思った。
彼は変わっただろうか?

私は電車を降りるとチケット屋に向かい、演奏会のチケットを購入した。

おんぶに抱っこで子育てしてたその頃、おしゃれ
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