性急な氷河のおもて、あるひとつの窪み/ホロウ・シカエルボク
 
されてはなにかを埋め込まれて舗装され直されている、重機やバイブレーターの振動がビートに茶々を入れる、それはまるで遠慮がちな爆弾のようだ―こう書くと無害なもののようだが、爆弾である限り人を殺すことは出来る、たとえば電源ケーブルを地中に埋めることになんの感想もない人間にとっては、ただただ地面が騒々しく掘り返されているに過ぎない、そこに雑多な人間の暮らしがある限り、美しい景観などは存在することは出来ない、そこにたとえば向上心があって、美しい建築物が次々と建てられるような発展が無い限りは―この街はずっとそんなふうに、台所のゴキブリのようにいちばん低い地面ばかりを這いながら延命装置に繋がれた植物人間のように
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