放課後の家族/吉岡ペペロ
父のくぐもった声が聞こえて、母が泣いているような声もした。
わたしはふらふらと立ち上がってカーテンをあけた。
母の寝室から見る外の夜は初めてだった。外にはまばらな竹やぶがあってその向こうには平屋のちいさな家があった。平屋には窓があって部屋明りがもれている。人影はなかったけれど壁に絵がかけられているのが見えた。
つぎの日わたしは学校を休んだ。朝早く父と母はけんかをしながら家をでた。
父の会社が倒産した。父は保証人になっていて借金を背負い、父と母は父の両親にお金を借りに行ったというのは後で母から聞いた話だ。
わたしはきのうの男のひとが家にやってきはしないか怖かった。だから弟にも学校を休ん
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