放課後の家族/吉岡ペペロ
道横の空き地に引きずられて投げ倒された。
さっきの男のひとだった。叫ぼうとしたら少しも声がでなかった。男がわたしのお腹をげんこつで殴っていた。でもまるで触れていないかのように痛くなかった。
男を見つめていると男が逃げていった。わたしは起き上がってダッシュで家に向かった。途中駄菓子屋さんのおばちゃんが泥だらけのわたしにどうしたのと声をかけてきた。「転んじゃって」と笑顔をつくってまた家に急いだ。母にも「転んじゃって」とうそをついた。
その夜わたしは高熱をだした。いつもは弟と寝ていたけれど母が心配してわたしは母の寝室で寝かされていた。
夜中目がさめて横を見ると母がいなかった。リビングから父の
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