放課後の家族/吉岡ペペロ
 
たらなん百回もそう言った。アイロンをかけているときも、ねぎを刻んでいるときも、わたしが靴下をはいているときも。
わたしはそのたびに目が動かなくなる。寝るまでそのままだ。目が動かなくなると手もとまってしまう。だからわたしは小学校の頃宿題をやったことがなかった。

放課後がやってくる。帰り道、わたしは放課後といっしょにあるいている。たとえばあじさいをみつける。
あじさいはいつもマイクのように見えた。芸能人や有名人に向けられるマイクのように見えた。それがなんだか唐突で華やかで、楽しい気持ちになる。その楽しさには光が射していたり、影が落ちていたりしている。
まいにち来るおなじ放課後。なのに、わた
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