放課後の家族/吉岡ペペロ
 
わたしはまざりあう光や影にいちいち戸惑っていた。わたしも人生初めてだったから。

母はいまだに父から、「おとこが浮気するのは仕方がない」と言われたことにイラついている。
父は芸能もやってるけれどなにをやっているのかよくわからない会社で働いていた。週に一度しか家に帰って来なかった。弟は父とよく将棋をさしていた。将棋には興味がなかったけれどわたしは横からそれを見ていた。弟がそのことを書いた作文を父が破いたことがあった。
わたしたちに現状を説明するより破くほうがマシだったのだ。

父はいちどだけ母の代わりに参観日に来たことがある。廊下から教室のわたしに向かって大声で名前を呼んで手を振った。弟
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