いまだ降る光のレイン/ホロウ・シカエルボク
閉じ込められる
鍵の無い引き出しのようなそこは
同じような夜のときに勝手に開いてしまう
「いつか解放されるだろう」って歌った
あの男は自分で死んでしまった
ラスト・ワルツの残響に薄笑いを浮かべながら
生きれば生きるほど
時間の概念はあやふやになる
確かな時間など無く
確かな現実など無く
確かな夢など無い
ただただ
景色の中に浮遊するような鼓動があるだけ
寝返りの数を重ねながら
ハードディスクとデジタルウォッチのわずかな明かりに照らされた部屋の中を
臨終のような空っぽの目つきで
尻軽な睡魔が再びやってくるのを待っている
砂漠でカラカラに渇きながら
年に数度
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